大学と企業で培った経験を糧に家業を継いで雛人形作りに取り組む
春蔵 雛人形デザイナー 津田 祐希奈さん
2025/02/25
立教卒業生のWork & Life
OVERVIEW
理学部生命理学科を卒業し、春蔵で雛人形デザイナーとして仕事をされる津田 祐希奈さんからのメッセージです。
多彩な業務に取り組みながら精巧な技術の習得に励む
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家族で営む雛 人形工房「春蔵 」で、雛人形デザイナーとして活動する津田祐希奈さん。現在の仕事内容について「雛人形の企画やデザイン、衣装の裁縫といった人形制作のほか、Webサイトの運営やSNSでの発信を行う広報、営業などの業務も兼任しています」と語る。春蔵で働き始めて3年目になるが、2023年に初めて百貨店で期間限定のポップアップストアを開催したことが自信につながったという。
「ブランドの世界観を表現できるような店舗にしたいと思い、企画・提案しました。店舗をゼロから作り上げるのは、とても刺激的な体験でした。それまで卸しがメインだったので、お客さまの声を直接聞くのは初めて。『春蔵のお雛様に一目惚れして購入した』と言ってくださる方もいて、大きな喜びを感じましたね」
現在、人形作りの全ての工程を行える雛人形作家になるために、父の下で修業を積んでいる津田さん。「一人前になるまで長い時間がかかるでしょう。雛人形作りには精巧な技術が求められ、0.1ミリ単位でこだわらなければならない世界です。覚えることは膨大にありますが、自分の技術が作品に直に反映されることに面白さを感じています」とやりがいを語る。
「ブランドの世界観を表現できるような店舗にしたいと思い、企画・提案しました。店舗をゼロから作り上げるのは、とても刺激的な体験でした。それまで卸しがメインだったので、お客さまの声を直接聞くのは初めて。『春蔵のお雛様に一目惚れして購入した』と言ってくださる方もいて、大きな喜びを感じましたね」
現在、人形作りの全ての工程を行える雛人形作家になるために、父の下で修業を積んでいる津田さん。「一人前になるまで長い時間がかかるでしょう。雛人形作りには精巧な技術が求められ、0.1ミリ単位でこだわらなければならない世界です。覚えることは膨大にありますが、自分の技術が作品に直に反映されることに面白さを感じています」とやりがいを語る。
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埼玉県川越市に拠点を構える「春蔵」の工房にて
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30年以上雛人形制作に携わる父の下で修業の日々
心を動かされることにその時々で挑戦してきた
春蔵で勤務するまでは雛人形とは距離を置いた人生を歩んできた。「家業を継ごうという気持ちはありませんでした。大学で学ぶうちに自分の進むべき道が見つかるだろうと、将来のことは漠然としか考えていなかったです」と振り返る。高校時代、理系科目が得意で生物に興味があったことから理学部生命理学科に進学。
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大学時代、塩見大輔教授の研究室で大腸菌の研究に没頭
「4年次に所属した研究室では、大腸菌のタンパク質について研究しました。顕微鏡をのぞく毎日で、仮説を立てて実験を通して検証するというプロセスがとても面白かったのを覚えています」
大学2年次の時には簿記の資格を取得。「就職を見据えて今のうちに取り組むべきことを教えてほしいと思い、キャリアセンターに相談に行ったんです。すると社会に出るうえで必要だと思うことを一度考えてみるようにアドバイスをいただきました。私はどんな会社でもお金に関する知識は必須だと考え、簿記の資格取得に挑戦したのです」と、その理由を語る。
新卒で入社したのはIT企業。簿記の資格が影響してか、経理の部署に配属された。
「社長や経営陣と話す機会が多く、経営方針や将来の展望などについて話を聞いているうちに経営というものに興味が生まれました。そんな時、実家に帰省して父が仕事をしている姿を見ていると、父が長年、情熱を注ぎ込んできた家業を途切れさせてはいけないという気持ちが湧いてきたんです」
家業を継ごうと決めた津田さんだが、それには社会経験が足りないと思い、株式会社リクルートに転職。修業する気持ちで1年間営業職を務めた。「私の経歴は一貫性がないように見えるかもしれません。しかし、その時々で心を動かされることに挑戦してきた結果が今につながっていると思います」と語る。大学時代に取得した簿記の資格、研究で培ったプレゼンテーション能力や仮説検証の力、1社目で身に付けた経理や経営の知識、2社目での営業経験、全てが現在の仕事の糧になっている。「将来、何が役立つか分かりません。自分の心に正直に、その時やりたいことに挑戦するのがよいのではないでしょうか」と後輩たちにアドバイスを送る。
大学2年次の時には簿記の資格を取得。「就職を見据えて今のうちに取り組むべきことを教えてほしいと思い、キャリアセンターに相談に行ったんです。すると社会に出るうえで必要だと思うことを一度考えてみるようにアドバイスをいただきました。私はどんな会社でもお金に関する知識は必須だと考え、簿記の資格取得に挑戦したのです」と、その理由を語る。
新卒で入社したのはIT企業。簿記の資格が影響してか、経理の部署に配属された。
「社長や経営陣と話す機会が多く、経営方針や将来の展望などについて話を聞いているうちに経営というものに興味が生まれました。そんな時、実家に帰省して父が仕事をしている姿を見ていると、父が長年、情熱を注ぎ込んできた家業を途切れさせてはいけないという気持ちが湧いてきたんです」
家業を継ごうと決めた津田さんだが、それには社会経験が足りないと思い、株式会社リクルートに転職。修業する気持ちで1年間営業職を務めた。「私の経歴は一貫性がないように見えるかもしれません。しかし、その時々で心を動かされることに挑戦してきた結果が今につながっていると思います」と語る。大学時代に取得した簿記の資格、研究で培ったプレゼンテーション能力や仮説検証の力、1社目で身に付けた経理や経営の知識、2社目での営業経験、全てが現在の仕事の糧になっている。「将来、何が役立つか分かりません。自分の心に正直に、その時やりたいことに挑戦するのがよいのではないでしょうか」と後輩たちにアドバイスを送る。
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津田さんには一つの夢がある。
「日本には、雛人形は雛祭りの時期にだけ飾る文化があります。しかし、雛人形をアートとして捉えて、一年中飾ってほしいと思っています。そのために、国内だけでなく海外も意識しながら、従来の発想にとらわれない雛人形をつくり、アートとして普及させる活動に取り組んでいきたいと考えています」
「日本には、雛人形は雛祭りの時期にだけ飾る文化があります。しかし、雛人形をアートとして捉えて、一年中飾ってほしいと思っています。そのために、国内だけでなく海外も意識しながら、従来の発想にとらわれない雛人形をつくり、アートとして普及させる活動に取り組んでいきたいと考えています」
※本記事は季刊「立教」270号(2024年11月発行)をもとに再構成したものです。バックナンバーの購入や定期購読のお申し込みはこちら
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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ミズノ株式会社 茂木 結矢さん
プロフィール
PROFILE
津田 祐希奈さん
2019年 理学部生命理学科卒業
埼玉県川越市出身。理学部生命理学科卒業後、IT企業に就職。リクルートに転職後、家業である雛人形工房「春蔵」へ。
春蔵Webサイト