公開講演会「一世紀前の「新しい美術館」と「新しい図書館」:ジョン・コットン・デイナ、根源的民主主義者の仕事」
INFORMATION
20世紀初頭のアメリカ合衆国において、図書館と美術館の近代化に大変重要な役割を果たした、根源的民主主義者であるジョン・コットン・デイナ( John Cotton Dana)についての大部の研究書 A Matter of Class:John Cotton Dana, Progressive Reformに基づく講演である。デイナはこれまでも図書館関係者の間ではよく知られ、母国アメリカでは同氏の名前を冠して、図書館の広報の実践に関する賞( John Cotton Dana Library Public Relations Award)がアメリカ図書館協会によって設けられているほどであるが、歴史研究の対象とされたことはほとんどなかった。講師のダンカン博士は、一次史料に徹底的にあたって、デイナのデンバー公共図書館からニューアーク公共図書館、ニューアーク美術館での仕事、そして同時期の彼の思想について明らかにした。彼の仕事は、図書館においても美術館においても共通して、社会的平等を重んじる原則に基づいていた。彼による「新しい美術館」のモデルは、都市部に集まった多種多様な人びとに対して啓蒙および娯楽を提供する、活気あふれる公共空間であった。当時の流行最先端をゆく美術館のトレンドについての論争上手のデイナによる力強い批評は、今、わたくしたちの時代にあっても共感を誘う。今回、デイナに関する貴重な研究を数年前にまとめられ、改めて注目されている講師を迎え、近代の図書館と美術館の思想に共通する深層部に迫る機会を得ることとしたい。
※使用言語:英語(簡単な通訳あり)
講師
Dr. Carol Duncan
キャロル・ダンカン博士
Ramapo College 名誉教授、Ph.D. (Columbia Univ.) The Aesthetics of Power: Essays in the Critical History of Art, Cambridge University Press, 1993, Civilizing Rituals: Inside Public Art Museums, Routledge, 1995(川口幸也訳『美術館という幻想-儀礼と権力』、 水声社、2011 年)、A Matter of Class:John Cotton Dana, Progressive Reform, The Newark Museum, Periscope, 2010.ほか多数。
詳細情報
名称
対象者
※申込不要、入場無料