公開講演会「Traditionsbruch? - Deutsche Literatur in der Frühen Neuzeit: Elisabeth von Nassau-Saarbrücken: Herpin, Eleonore von Österreich: Pontus und Sidonia, Thüring von Ringoltingen: Melusine, Till Eulenspiegel und Sebastian Brants Narrenschiff (伝統断絶?-近世初期ドイツ文学:エリザベート・フォン・ナッサウ=ザールブリュッケン『ヘルピーン』、エレオノーレ・フォン・エスターライヒ『ポントゥスとシドーニア』、テューリング・フォン・リンゴルティンゲン『メルジーネ』、『ティル・オイレンシュピーゲル』、ゼバスティアン・ブラント『愚か者の船』)」※使用言語:ドイツ語(通訳あり)
INFORMATION
15世紀以降近世初期のドイツ語文学は、これまでのドイツ語文学史記述の中では、中世盛期の宮廷騎士文学の陰に隠れ、いわば空白地帯であった。騎士階級の没落、遠隔貿易の発展と資本主義経済の浸透、都市市民階級の台頭など、大きな社会的変革において文学創作・受容も変容に曝されることとなった。しかし文学史研究においては依然として中世盛期騎士文学研究が有力であり、近世初期の新しい社会背景での文学にはあまり関心が向けられていない。社会的変動のもとでの文学活動の担い手・聴衆の変遷という観点から、貴族女性作家エリザベート・フォン・ナッサウ=ザールブリュッケンおよびエレオノレ・フォン・エーステライヒの活動とその作品、日本の竹取物語や夕鶴を連想させる『メルジーネ』、法律家でもあり都市書記官であったゼバスティアン・ブラントによる、15/16 世紀ヨーロッパでのベストセラー『愚か者の船』などを具体例として、近世初期ドイツ語文学の文学史研究・記述の新たな可能性を論じる。
講師
アメリカ合衆国・アリゾナ大学教授
アルブレヒト・クラースセン 氏
1986年ヴァージニア大学にてドイツ文学で博士号取得。ドイツ中世・近世初期文学専門。ヴァージニア大学講師、アリゾナ大学助手、同大学助教授を経て1994年から現職。2004年ドイツ連邦勲章受章。『絶望と希望。ドイツ中世文学におけるコミュニケーション共同体の模索』(編著2002)、『盛期中世から17 世紀初期までの恋愛・結婚ディスクール』(編著2005)、『中世およびルネサンス期における幼少期』(編著2005)、『中世および近世初期における性』(編著2008)、『同時代科学の中でのパラケルズス』(編著2010)、『近世における宗教と健康。16世紀における治療ディスクール』(編著2011)、『古代後期から現代までの良き人生と良き死。世紀を超えての哲学的倫理的ディスクール』(編著2012)など、編著書、論文多数。中世文学・中世文献をジェンダー、健康、科学など様々な文化史的観点から研究。2013年6月に本学招聘研究員として日本滞在。
《通訳》 本学文学部ドイツ文学専修兼任講師
村瀬 天出夫
詳細情報
名称
対象者
※申込不要、入場無料