Diversity Promotion and Multicultural Inclusion in East Asia 東アジアにおけるダイバーシティと多文化共生

INFORMATION

  • 2018年3月17日(土)10:00~18:00
  • 池袋キャンパス 1号館2階 1203教室

グローバル化が進む中、多様性の促進にどう取り組むのかは多くの社会における重要な問題となっている。今日の多様性の促進への注目は主に企業の創造性を高めることに益するという観点からのものであり、多文化共生推進の観点とは必ずしも一致せず、むしろ実利的な多様性促進は文化多様性の社会における包含とは相容れないものと捉えられることも多い。しかし、多様性により創造性を高めることへの関心は、より広義に多様性が社会全体を豊かにするという価値観の醸成とも結びつき、多文化共生に取り組む地方行政、NGO/NPO、教育者、市民グループ、そして移民・エスニックマイノリティコミュニティといったさまざまな社会的主体を巻き込んで、文化多様性の肯定的な受け入れの推進の取り組みにも結びつく可能性もある。
本国際シンポジウムでは東アジアの比較検討のアプローチを採用し、韓国、台湾、香港、日本の研究者およびNGO/NPO関係者等を招聘して、それぞれの社会における多様性の促進と文化的包含推進の取り組みの関連について相互に学び合うことを目指す。これらの社会は80年代後半以降にアジア系移民が増加したこと、多文化共生をめぐる取り組みはローカルの主体が中心となっていることなどの共通点を持っている。一国/一社会の中の問題として考えられがちな多文化共生の問題を国境を越えて共有された問題として捉え直し、この枠組みでは醸成しきれない文化多様性の尊重と包含についての新たな価値観の醸成を共に育む可能性についても論じる。

香港バプティスト大学人文・文芸創作学部教授(Fung Hon Chu Endowed Chair Professor)
John Nguyet Erni 氏

専門は文化研究。近年の著書に Understanding South Asian minorities in Hong Kong (2014)、(In)visible colors: Images of non-Chinese in Hong Kong cinema
(2016)などがある。

台湾・世新大学社会発展研究所教授
Hsiao-Chuan Hsia 氏

専門は社会学。台湾における移民女性のエンパワメント国際運動(TransAsia Sisters Association Taiwan など)にも関わる。著書にDrifting shoal: The “foreign brides” phenomenon in capitalist globalization など。

オーストラリア・モナシュ大学教授、モナシュアジア研究所所長
Koichi Iwabuchi 氏

専門はメディア・文化研究。近年の著書にResilient borders and cultural diversity (2015)など。文化多様性の促進に向けて、メルボルンのイミグレーション・ミュージアムと協働するとともに、東アジアの多文化表現実践プロジェクト(Trans-East-Asia Multiculturalism)も主宰。

韓国・延世大学文化人類学部、文化・ジェンダー研究科教授
Hyun Mee Kim 氏

専門は文化人類学。韓国社会の多文化に関してフィールドワークおよびNGOと協働しながら研究をしている。著書にCultural translation in a global era (2005)、We always leave home: Becoming migrants in South Korea (2014)など。

上智大学外国語学部英語学科准教授
出口 真紀子 氏

著書に「白人性と特権の心理学」『北米研究入門』(2015)、訳書に『真のダイバーシティをめざして』(2017)など。

公益財団法人かながわ国際交流財団 学術・文化交流グループ副主幹
野呂田 純一 氏

大阪大学卒。学術博士(総合研究大学院大学)。平成28年度より神奈川県内の美術館4館および芸術祭団体とともに、美術館における社会包摂的な教育普及を行うプロジェクト「マルパMuseum UnLearning Program for All—社会を包む教育普及事業—」を進めている。

台湾女性映画協会(Taiwan Women’s Film Association)事務局長
Pei-Chia Lo 氏

ロンドン大学バーベック校からフィルム・映像芸術で修士号取得。ドキュメンタリー教育ワークショップを主宰し、台湾国際女性映画祭(Women Make Waves Film Festival)の実行委員長を務めた経験を持つ。

韓国ソウルのMigrant World TV 共同代表
Hyesil Jung 氏

MWTVは移民によるテレビおよびラジオ番組のネット放送を行うほか、移民映画祭も主催。韓国における移民の人権問題に市民団体活動家として長らく携わってきた。

香港芸術センター(Hong Kong Arts Centre)プログラムディレクター
Teresa Kwon 氏

香港のエスニックマイノリティの若者による映像制作プロジェクト「All about us」を2009年に立ち上げたほか、釜山国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭などで審査員を務めた経験を持つ。

多文化市民メディアDiVE.tv 代表、ジャーナリスト
牧野 佳奈子 氏

福井県出身。地方テレビ局の報道記者を3年勤めた後独立。国内外の文化・生活・地域づくりなどを取材し、主に雑誌にて発表。2015年にインターネット動画サイト「多文化市民メディアDiVE.tv」を立ち上げ、愛知県内に住む外国ルーツの人たちの文化や生活を発信している。

日本最大級のベトナムイベント企画運営団体SỰ KIỆN JAPAN(ス・ケン・ジャパン)代表
Võ Thành Lý 氏

多文化市民メディアDiVEでも活躍。

公益財団法人浜松国際交流協会(Hamamatsu Foundation for International Communication and Exchange)主幹・多文化共生コーディネーター
松岡 真理恵 氏

若者支援や自治会との共生事業などに携わる。(財)豊田市国際交流協会職員時代(95年から01年)には、保見団地での共生地域づくりや不就学の子どもの支援に関わる。06年から現協会勤務。東京外国語大学・多言語多文化教育研究センターの多文化社会コーディネーター研究に関わったことで、現在、多文化社会専門職機構に参加。

認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表、「なくそう!SOGI ハラ」実行委員会代表
松中 権 氏

金沢市生まれ。一橋大学法学部卒業後、株式会社電通に入社。海外研修制度で米国ニューヨークのNPO 関連事業に携わった経験をもとに、2010年、NPO法人を仲間たちと設立。2016年、第7回若者力大賞「ユースリーダー賞」受賞。2017年6月末に16年間勤めた電通を退社し、二足のわらじからNPO専任代表に。LGBTと社会をつなぐ場づくりを中心としたこれまでの活動に加え、2020年に向けたプロジェクト等に取り組む。

三木 幸美 氏

大阪生まれ。フィリピンと日本のダブルとして生まれ6歳まで無登録児だったが、6歳で「三木幸美」となる。2009年より大学生ボランティアとしてとよなか国際交流協会に関わり始め、2014年とよなか国際交流協会・大阪市立南小学校で小学校低学年~社会人を対象にしたダンス教室を開催。学校での必修化に伴い教員向けのダンスレッスンも行う。2016年度より同協会職員。外国にルーツを持つ子どもの活動を支援しながら自身も外国にルーツを持つ者として各地での講演活動や発信を続けている。『家族写真をめぐる私たちの歴史』(御茶の水書房、2016年)にも寄稿。

COLORS(カラーズ)

浜松で活動する外国にルーツを持つ若者グループ。Communicate with Others to Learn Other Roots and Stories の略。ブラジル、フィリピン、アメリカなどにルーツを持つ日本育ちの大学生・社会人ら約10名で活動中。2013年(公財)浜松国際交流協会主催イベント「78ヶ国の浜松市民が大集合!?未来はみんなでつくる!」を企画したことをきっかけに、2014年1月に発足。交流会、外国ルーツを持つ若者のための就職応援セミナーに参画。現在、外国にルーツを持つ高校生を勇気付けることを目的に、浜松市内などの県立高校に赴いて「外国ルーツ」特有の悩みを共有し、自分良さに気付き、将来を考えるワークショップを実施。外国ルーツの若者のロールモデルとして、また、多様性を自分の力として生かしながら活動中。
・ミウラサユリ Cinthia Sayuri Miura(日本生まれ。大学生。ブラジルルーツ)
・宮城ユカリ Monica Yukari Miyagi(ブラジル生まれ。大学生。ブラジルルーツ)
・ガリロス エラー ジェーン Elah Jane Gallos(フィリピン生まれ。大学生。フィリピンルーツ
・玉城純子 Tamashiro Junko(日本生まれ。大学生。ブラジルルーツ)
・イノエダイキ Inoe De Lima Eduardo Daiki(日本生まれ。大学生。ブラジルルーツ)

詳細情報

名称

Diversity Promotion and Multicultural Inclusion in East Asia 東アジアにおけるダイバーシティと多文化共生

内容

韓国、台湾、香港、日本におけるダイバーシティと多文化共生をトランスナショナルな視点で考える。
※使用言語:英語と日本語(日英、英日逐次通訳あり)

(1)パネルディスカッション:東アジアにおけるダイバーシティ再考(10:00~11:30)
【登壇者】
John Nguyet Erni氏、Hsiao-Chuan Hsia氏、Koichi Iwabuchi氏、Hyun Mee Kim氏

(2)ダイバーシティと教育(11:45~13:15)
【発表者】
「マジョリティに対するダイバーシティ教育」出口真紀子氏
「みんなで”まなびほぐす”美術館 Museum UnLearning Program for All—社会を包む教育普及事業—」野呂田純一氏
「フィルムフェスティバルの有効性」Pei-Chia Lo 氏

(3)ダイバーシティと映像(14:15~16:15)
【登壇者】
Hyesil Jung氏、Teresa Kwong氏、牧野佳奈子氏、Võ Thành Lý氏

(4)日本社会とダイバーシティ 16:30~18:00
【登壇者】
松岡真理恵氏、松中権氏、三木幸美氏、COLORS

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 不要
  • 参加費 無料

主催

モナッシュ大学アジア研究所(Monash Asia Institute, Monash University)、東アジア多文化表現実践プロジェクト(Trans-East Asia Multiculturalism Project)

共催

異文化コミュニケーション学部

後援

公益財団法人鹿島学術振興財団

お問い合わせ

学部事務4課

TEL:03-3985-4824

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