第81回ジェンダーセッション「出産後の就労継続をめぐる戦後女性教員史——育児休業要求運動と保育所設置運動を事例として」
INFORMATION
本講演では、戦後日本の小学校の女性教員の歴史的事例をもとに、子どもを育てながら働くことを考察する。小学校教員は、「主婦化」が進行する時代に、出産後も継続的に就労する労働文化を形成してきた。女性労働史に女性教員の歴史を位置づけると、女性教員には、教職員組合による労働運動によって、産休代替制度や育児休業制度といった出産後の継続就労を支える制度を要求・実現してきたという特徴がある。本講演では、育児休業要求運動の際に生じた「育児休業は女性の出産後の就労継続に必要か」「育児休業よりもゼロ歳児保育所の設置の方が大事ではないか」という女性教員たちの議論に焦点を置き、女性教員の戦後史を掘り下げていく。50年以上前の議論にもかかわらず、現代にも通ずる点も多いことから、歴史的事例を通じて、子どもを育てながら働くことの議論を深めたい。
講師
本学コミュニティ福祉学部助教
跡部 千慧
博士(社会学)。専門は労働と家族の社会学、ジェンダー研究。女性教員の歴史を女性労働史に位置づけて研究してきました。2016 年4 月静岡大学学術院融合・グローバル領域助教を経て2020 年4 月より現職。著作に『戦後女性教員史——日教組婦人部の労働権確立運動と産休・育休の制度化過程』(2020 年、六花出版)。
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