公開ウェビナー「原子力施設廃止をアーカイブする——課題と協働」
INFORMATION
共生社会研究センターでは、原子力発電所に関連する様々な市民運動・活動の資料を所蔵している。日本における原子力開発の初期から、その是非を問う市民は情報の公開を求めてたたかってきた。また福島原子力発電所の廃炉作業に関する記録がきちんと作成・保存され、いずれは公開されるのか否かも現時点では未知数である。
一方イギリスでは2005年、原子力廃止措置機関(Nuclear Decommissioning Authority, NDA)が設立され、国内原子力関連産業が生み出してきた多様かつ膨大な記録の適正な管理・公開を担当するアーカイブズ機関Nucleusが、電子媒体を含む記録の長期保存と公開という課題に取り組んでいる。
そこで本ウェビナーでは、ヨーロッパを中心とするエネルギー関連アーカイブズ機関で構成されるエネルギー・アーカイブズ・ネットワーク(EOGAN)の協力を得て、NDAの活動とアーカイブズ管理について担当者にご報告いただく。またNDAが電子記録の長期保存という課題に取り組むにあたり、NDAとデジタル保存連合(Digital Preservation Coalition DPC)との協働により開発され、2019年9月に発表された成熟度モデルDPC RAM(Rapid Assessment Model)についても、DPCの開発担当者にご解説いただく。
スピーカー
ジョージ・パドモア研究所アシスタント・アーキビスト
コルヤ・アブラムスキ 氏
専門分野はエネルギー産業の社会的・経済的・政治的・環境的側面。現在、ジョージ・パドモア研究所にてトリニダード・トバゴの油田労働者組合関連資料の整理を担当。EOGAN理事。
EOGAN代表
マルタ・ムッソ 氏
専門はエネルギー史とヨーロッパのエネルギー政策。2020年よりスウェーデン王立工科大学技術史部門のポスト・ドクトラル・リサーチャー。
NDA情報ガバナンスプログラムマネジャー
マーティン・ロッブ 氏
NDAの情報ガバナンス・知識管理戦略の実現に取り組む。機関内の情報と知識に関するインフラストラクチャーの維持管理に加え、1940年代以降のNDA業務記録の適正な管理と長期保存について責任を負う。
原子力およびケイスネス郡アーカイブズ(Nucleus)アーキビスト
ゴードン・リード 氏
イギリスにおける原子力施設廃止関連産業の記録保存機関のアーキビストとして、当該産業の利益のみならずグローバルな利用者に奉仕することを目指す。アーキビストとして30年以上の経験があり、現在スコットランド・アーキビスト協会長。
DPC優良事例・標準部門長
ジェニー・ミッチャム 氏
専門は考古学。現在は電子記録保存に関する国際的協働とコミュニケーションを使命とする会員組織DPCで、優良事例や標準策定を担当している。ヨーク大学ボースウィック・アーカイブズにて電子記録保存およびデジタル化に関するプロジェクトに関わって以来17年間にわたり、この分野で活動を続けている。