公開シンポジウム「核兵器廃絶への道を探る—激変する国際情勢と外交における日本の役割」
INFORMATION
本シンポジウムは、核兵器廃絶に向けた取り組みの最新情報を共有し、問題を構造的に把握することを目的とする。今年は、6月の核兵器禁止条約第一回締約国会議、8月の核不拡散条約(NPT)運用検討会議という重要な国際的な会議が開催される。他方、今年に入りロシアのウクライナ侵攻により世界の安全保障情勢は激変した。核廃絶の立場からは憂慮すべき状況にある。安全保障と核兵器禁止条約の関係を議論し、問題の構造を把握し、核廃絶に向けた展望を探ることは極めて重要である。本シンポジウムでは、日本の軍縮大使として核廃絶交渉に従事された佐野利男氏を招き、最近の核軍縮をめぐる国内外の動向について講演をしていただく。そして、この問題を多面的に捉えるために、元ドイツ特命全権大使、前ウクライナ特命全権大使、日本国際問題研究所軍縮・不拡散科学センター長をパネリストとして招くとともに、北欧情勢に詳しい菅沼が司会を務めることで、議論を深め、核軍縮の機運を高めることにつなげたい。
講師
原子力委員会委員、元デンマーク特命全権大使
佐野 利男(さの としお) 氏
1952年千葉県銚子市生。元デンマーク特命全権大使。東京大学法学部卒業、米国スワスモア大学留学。77年外務省入省以降主にエネルギー、経済協力、軍縮などの機能局を歩み、フランス、インドネシア、アメリカ(ニューヨーク)、スイス(ジュネーブ)、サウジアラビア、デンマークに赴任。大臣官房総括審議官、軍縮不拡散・科学部長、駐デンマーク特命全権大使、ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部特命全権大使を歴任し、2017年2月退官。著書に『女神フライアが愛した国』(2017年、東海大学出版部)、『核兵器禁止条約は日本を守れるか—「新しい現実」への正念場』(2022年、信山社)がある。
パネリスト
日本国連学会会長、元ドイツ特命全権大使、関西学院大学教授
神余 隆博(しんよ たかひろ) 氏
香川県出身。1972年大阪大学法学部卒業、外務省入省。2002年在デュッセルドルフ日本国総領事、2005年外務省国際社会協力部長、2006年国際連合日本政府代表部特命全権大使、2008年在ドイツ特命全権大使等を歴任。1996年博士号(法学)取得。専門は外交政策論、欧州政治。2012年3月外務省退職。2012年4月より関西学院大学副学長・国際連携機構長を歴任。ドイツ功労十字勲章、フランス・シュバリエ勲章を受章。2017年4月より国連・外交統括センター長。
前ウクライナ特命全権大使、玉川大学客員教授
角 茂樹(すみ しげき) 氏
1977年一橋大学商学部卒業、外務省入省。1980年オックスフォード大学セント・キャサリン・カレッジ卒業。外務省国連PKO室長、国際連合日本政府代表部一等書記官、駐タイ公使、外務省国際社会協力部参事官等を歴任。ウィーン国際機関日本政府代表部大使を経て、2008年から国連大使、2011年から駐バーレーン特命全権大使、2014年から駐ウクライナ特命全権大使。同年2月から始まっていたロシアのクリミア侵攻により避難民が生じていることを受け、インフラ復旧等の重要性を強調。日・ウクライナ投資協定の署名などを行った。ウクライナ大使在任中に、5つの勲章を受章。
日本国際問題研究所軍縮・不拡散科学センター所長
戸崎 洋史(とさき ひろふみ) 氏
1998年大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程中途退学。2003年博士号(国際公共政策)取得。専門は軍備管理・不拡散問題、安全保障論。九州大学大学院法学府客員助教授、日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター主任研究員、国際基督教大学国際関係学科非常勤講師、広島市立大学大学院平和学研究科非常勤講師などを経て現職。共著に『新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛-INF条約後の安全保障』(2020年、並木書房)、『軍縮・不拡散の諸相』(2019年、信山社)、『安全保障論-平和で公正な国際社会の構築に向けて』(2015年、信山社)などがある。