第58回社会福祉のフロンティア「やまゆり園事件から8年、障害者の自立生活を考える——ドキュメンタリー映画『道草』上映会」
INFORMATION
障害がある人の生活の場は広がりつつあるが、「重度」とされる人のうちにはいまだ施設や親元で暮らす人が多い。2014年に重度訪問介護制度の対象が拡大されて以来、介護を受けつつ自立生活を送る重度身体障害者が増えている一方、重度知的障害者の自立生活は限定的である。本講演会では、重度知的障害者の介護つき自立生活を描くドキュメンタリー映画『道草』を上映する。映画は、家族や介護者、地域の人々との関わりのなかで成立する彼らのひとり暮らしの実際を追い、彼らが過ごす和やかな時間だけでなく、混乱や「行動障害」をも映し出す。また上映後は、この映画の監督による講演と、会場の参加者を交えたディスカッションを通じて、障害者の自立生活とそれを支える社会のありようを考える。2016年7月に発生した津久井やまゆり園事件から8年が経とうとしているいま、本講演会は、事件の被害者たちを追悼し、昨今社会的関心が薄れがちな障害者福祉に再び目を向ける機会を参加者に提供する。
映像作家
宍戸 大裕(ししど・だいすけ) 氏
学生時代、東京の自然豊かな山、高尾山へのトンネル開発とそれに反対する地元の人びとを描いたドキュメンタリー映画『高尾山 二十四年目の記憶』(2008年)を製作。その他の作品に、東日本大震災で被災した動物たちと人々の姿を描いた『犬と猫と人間と2——動物たちの大震災』(2013年劇場公開)、人工呼吸器を使いながら地域で生活する人を描いた『風は生きよという』(2016年劇場公開)、知的障害がある人の入所施設での人生を描いた『百葉の栞さやま園の日日』(2016年製作)がある。現在、難病ALSを抱えながら生きる人々の3年半を描いた最新作『杳かなる(はるかなる)』の公開準備中。