公開講演会「ブラジルにおける「未完結のジェンダー革命」—人口変動への複合的視点」
INFORMATION
2023年のブラジルの出生率は1.66と、グローバルノース諸国並みに人口維持水準から大幅に遠のいている。同時に平均寿命は伸び、高齢化社会へと足早に移行しつつある。この半世紀、ブラジル女性が階級や人種を超えながらもたらした所謂静かな革命—家事、育児と仕事との両立による家族や社会への福祉—を反映する現象である。教育レベルの向上、労働市場への参加、キャリアを目指すことが出来るようになった一方、歴史的なライフワークバランス施策の乏しさが男女間のみならず、女性の間でも階級や人種格差を生じさせている。中流階級の家庭の多くは過去の奴隷制の名残りで家事や子供、高齢者のケアを代行してもらったり、民間の施設を利用する方法を取っている。この仕事を行っているのが低所得層や黒人女性であるという現状が女性の両極化をもたらし、ケアする者とケアされる者を分断する。もう一方で男性の生産領域への関心の低さは続く。育児や保育の問題に加えて介護の責任が今後どのように女性へと降りかかるのかを複合的視点を取り入れながらブラジルにおける「未完結のジェンダー革命」(Eping-Andersen, 2009)とは何かを議論する。
講師
ミナス ジェライス連邦大学教授、本学在外招聘教員
ガルシア 優美 氏
サンパウロ大学社会学博士(2008)。2012年よりミナスジェライス連邦大学社会学部教授。研究テーマは家族、労働、政治、社会施策などにおけるジェンダー、階級、人種・民族、国籍、世代の複合的検証。ブラジルの都市および農村部、カナダ(ケベック)、フランス、日本などでフィールドワークを行う。大学院では、「クロスセクショナル研究:ジェンダー、宗教、知識、技術」ラボラトリーに属し、院生に社会理論、質的社会学方法論、ライフストーリー方法論を教える。2022年にモントリオール大学で客員研究員、2024年からグローバル・リサーチ・インスティテュート(GRIP-Université Paris Cité)のメンバーとなる。
通訳者
東洋学園大学准教授
竹内 雅俊(たけうち まさとし) 氏
中央大学大学院法学研究科博士課程満期退学。本学、武蔵大学などでの非常勤講師を経て現職。専門分野は、国際関係論、国際法、国際機構論。著書に『国際関係学〔第3版〕:地球社会を理解するために』(共著、2021)、『善き経営GBIの理論と実践』(共著、2016)などがある。
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- 参加費 無料