研究プロジェクトラテンアメリカ研究所
2007~2008年度にかけて立教大学学術推進特別重点資金の助成を受けて実施したプロジェクト研究「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」では、ブラジルにおける日系人百年の軌跡を、多様な資料から解き明かし、デジタルアーカイブとして保存・活用するシステムの構築を目指しました。また、国際会議「ブラジル日本人移民100年の軌跡」も開催されました。
ラテンアメリカ研究所では、2007~2008年度にかけて立教大学学術推進特別重点資金(立教SFR)の助成を受け、プロジェクト研究「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」を、慶應大学デジタルメディアコンテンツ統合機構と連携して実施しました。
本プロジェクトの目的は、移民の高齢化や日系人の日本語・日本文化に対する関心の希薄化が進む中で、急速に消失・劣化の危機に瀕している貴重な移民関係資料や移民たちの言説を、将来に向けてきちんと収集・保存し、それらを広く社会に公開することで、ブラジル移民研究の深化や移民に対する社会的関心を喚起することにありました。その実現に向けた第一歩として、サンパウロ州バストス、マットグロッソ・ド・スル州カンポグランデを事例に、移民関係資料の収集・保存・分析と、そのデジタルアーカイブ構築を進めました。
こうした活動は、日本・ブラジル両国にとってきわめて重要な社会的意義をもつものと考えます。しかし、同時にその作業は地道かつ膨大であり、多くのマンパワーと資金が不可欠でした。私たちは立教大学より2年間で約800万円の助成金を受けてプロジェクトを進めましたが、メンバーはもとより多数のブラジル人ボランティアに支えられて活動していたのが実情です。また、製作したデジタルアーカイブは、今後もその維持・管理が重要であり、将来的に資料や情報が研究者や日系人の協力により加筆・追加され進化していくことが切望されます。その意味では、しかるべき公的機関や理解ある企業などがこうした活動に理解を示し、継続的にバックアップあるいは主導的に担っていただけることが理想といえます。
以下に当研究プロジェクトの概要を示します。
本プロジェクトの目的は、移民の高齢化や日系人の日本語・日本文化に対する関心の希薄化が進む中で、急速に消失・劣化の危機に瀕している貴重な移民関係資料や移民たちの言説を、将来に向けてきちんと収集・保存し、それらを広く社会に公開することで、ブラジル移民研究の深化や移民に対する社会的関心を喚起することにありました。その実現に向けた第一歩として、サンパウロ州バストス、マットグロッソ・ド・スル州カンポグランデを事例に、移民関係資料の収集・保存・分析と、そのデジタルアーカイブ構築を進めました。
こうした活動は、日本・ブラジル両国にとってきわめて重要な社会的意義をもつものと考えます。しかし、同時にその作業は地道かつ膨大であり、多くのマンパワーと資金が不可欠でした。私たちは立教大学より2年間で約800万円の助成金を受けてプロジェクトを進めましたが、メンバーはもとより多数のブラジル人ボランティアに支えられて活動していたのが実情です。また、製作したデジタルアーカイブは、今後もその維持・管理が重要であり、将来的に資料や情報が研究者や日系人の協力により加筆・追加され進化していくことが切望されます。その意味では、しかるべき公的機関や理解ある企業などがこうした活動に理解を示し、継続的にバックアップあるいは主導的に担っていただけることが理想といえます。
以下に当研究プロジェクトの概要を示します。
立教大学学術推進特別重点資金(立教SFR)プロジェクト研究(単独プロジェクト研究)
研究課題
ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡
研究目的
2008年,ブラジルで150万人を越えるとされる日本人移民とその子孫(以下,日系人とする)の歴史は,100年を迎えた。本研究は,ブラジル日本人移民百周年にあわせ,ラテンアメリカ研究所主導のもと,ブラジルにおける日系人百年の軌跡を,文書・写真・語りなどの多様な資料から解き明かし,またその資料群をデジタルアーカイブとして保存・活用するシステムの構築を追究した。研究は,ブラジル国内の代表的な日系人コミュニティを事例として,大きく次の2段階に分けて実施した。
1)日系人コミュニティや事例となる家族の歴史・文化変容をテーマとする基礎研究
2)収集された移民関係資料のデジタル化とデジタルアーカイブ構築に関する研究
本プロジェクト研究がカバーする学問分野は,歴史学はもとより,日本からブラジルへの人の移動,あるいは移住地という固有の場所における多様な生活・文化を記録する点で,人文地理学,地誌学,文化人類学,民俗学などと深い関連がある。また,資料のデジタル化やアーカイブの構築に取り組む点で,博物館学や情報処理学との関わりも深い。さらに,日本の研究者のみならずブラジルの研究者も参加する学際的な移民・日系人研究である。
1)日系人コミュニティや事例となる家族の歴史・文化変容をテーマとする基礎研究
2)収集された移民関係資料のデジタル化とデジタルアーカイブ構築に関する研究
本プロジェクト研究がカバーする学問分野は,歴史学はもとより,日本からブラジルへの人の移動,あるいは移住地という固有の場所における多様な生活・文化を記録する点で,人文地理学,地誌学,文化人類学,民俗学などと深い関連がある。また,資料のデジタル化やアーカイブの構築に取り組む点で,博物館学や情報処理学との関わりも深い。さらに,日本の研究者のみならずブラジルの研究者も参加する学際的な移民・日系人研究である。
研究対象地域
研究対象とした日系人コミュニティは,サンパウロ州のバストスとアリアンサ,マットグロッソ・ド・スル州のカンポグランデである。いずれもブラジルを代表する特色あるコミュニティとして広く認知されており,すでに相当数の移民関係資料等が確認・収集されている。本プロジェクト研究では,現地での協力体制がすでに整備されているこれら2つの日系人コミュニティにおいて,現地研究者の協力のもと,聞き取り調査や資料の収集・保存,デジタルアーカイブ構築に取り組んだ。以下に,研究対象としたバストスとカンポグランデの各日系人コミュニティの特色について述べる。
①サンパウロ州バストス
第一次世界大戦後の不況下,日本政府が本格的にブラジルへの移民送出と組織的な定住植民地の創設に乗り出す中で,バストスは1928年から開拓が進められた代表的な移住地の一つである。現在,バストスの総人口約2万人のうち,日系人は約20%を占めるといわれる。壮年層を中心に「出稼ぎ」も活発で,今日の代表的なブラジル日系人コミュニティの一つといえる。開拓当初の入植者は,今でも数人が健在である。1973年に開館した「山中三郎記念バストス地域史料館」には,バストス開拓時代からの貴重な文書類,写真,物品等が所蔵されているが,残念ながら未整理の状態である。
②マットグロッソ・ド・スル州カンポグランデ
カンポグランデは,ブラジルでもとくに日本人移民の歴史が古い移住地で,1914年に最初の定住家族が記録されている。1908年に「笠戸丸」で海を渡った最初のブラジル日本人移民の多くは,その後農場から逃亡して国内外に離散したが,当時ブラジル奥地で建設が進められていたノロエステ鉄道の工事人夫として集まったこれら初期の移民たちが,カンポグランデの最初の開拓者となった。現在,20を超える入植地が存在するが,とりわけ沖縄県出身者が多いことが大きな特徴で,ウチナンチュウの伝統文化がブラジルで最も色濃く残る移住地として知られている。
①サンパウロ州バストス
第一次世界大戦後の不況下,日本政府が本格的にブラジルへの移民送出と組織的な定住植民地の創設に乗り出す中で,バストスは1928年から開拓が進められた代表的な移住地の一つである。現在,バストスの総人口約2万人のうち,日系人は約20%を占めるといわれる。壮年層を中心に「出稼ぎ」も活発で,今日の代表的なブラジル日系人コミュニティの一つといえる。開拓当初の入植者は,今でも数人が健在である。1973年に開館した「山中三郎記念バストス地域史料館」には,バストス開拓時代からの貴重な文書類,写真,物品等が所蔵されているが,残念ながら未整理の状態である。
②マットグロッソ・ド・スル州カンポグランデ
カンポグランデは,ブラジルでもとくに日本人移民の歴史が古い移住地で,1914年に最初の定住家族が記録されている。1908年に「笠戸丸」で海を渡った最初のブラジル日本人移民の多くは,その後農場から逃亡して国内外に離散したが,当時ブラジル奥地で建設が進められていたノロエステ鉄道の工事人夫として集まったこれら初期の移民たちが,カンポグランデの最初の開拓者となった。現在,20を超える入植地が存在するが,とりわけ沖縄県出身者が多いことが大きな特徴で,ウチナンチュウの伝統文化がブラジルで最も色濃く残る移住地として知られている。
具体的な調査・研究内容
① コミュニティの歴史と移住者のライフヒストリー研究
各コミュニティにおいて,文書・写真・図像・言説を通じて,コミュニティが辿った歴史や,その中で生き抜いてきた移住者の個別なライフヒストリーやファミリーヒストリー(家族史)を,詳細かつ系統的に収集した。そのうえで,過去に移民が持ち込んだ「日本文化」が,異質なブラジル社会の大きな変動の中で,世代を超えてどのように変容してきたのかを,ライフヒストリーやファミリーヒストリーに関する多数の個別事例の比較研究から分析した。同時に,そのような日本文化の変容を促した要因や背景についても,日本語の習得やブラジル社会との関わりなどの諸側面から多角的に考察した。
② デジタルアーカイブの構築
各コミュニティで収集された移民関係資料をデジタル化すると同時に,それらを分類・整理して資料化を図った。また,それらの資料群をデジタルアーカイブとしてウェブ上で公開し運営するための基礎を固めた。
各コミュニティにおいて,文書・写真・図像・言説を通じて,コミュニティが辿った歴史や,その中で生き抜いてきた移住者の個別なライフヒストリーやファミリーヒストリー(家族史)を,詳細かつ系統的に収集した。そのうえで,過去に移民が持ち込んだ「日本文化」が,異質なブラジル社会の大きな変動の中で,世代を超えてどのように変容してきたのかを,ライフヒストリーやファミリーヒストリーに関する多数の個別事例の比較研究から分析した。同時に,そのような日本文化の変容を促した要因や背景についても,日本語の習得やブラジル社会との関わりなどの諸側面から多角的に考察した。
② デジタルアーカイブの構築
各コミュニティで収集された移民関係資料をデジタル化すると同時に,それらを分類・整理して資料化を図った。また,それらの資料群をデジタルアーカイブとしてウェブ上で公開し運営するための基礎を固めた。
ラテンアメリカ研究所の目指した方向性と将来像
移民100周年を迎えたブラジルの日系人コミュニティでは,現在,移民の歴史や出自への関心が高まるなか,日系人としてのアイデンティティの希薄化やコミュニティの縮小・脆弱化等の問題が懸念されている。こうした中で,ラテンアメリカ研究所が主導し,現地の研究者や日系人と協同で進められた本プロジェクト研究は,日系人コミュニティのあり方やそのアイデンティティを問い直し,将来に向けてその結束力を高める重要な役割を担うとともに,当研究所が日本とブラジルの相互理解の促進や学術交流の一つの拠点となりうることを内外に示した。
また,ブラジル各地の日系人コミュニティで急速に消失・散逸・破損しつつある移民関係資料(たとえば旅券や写真,手紙,生活用具,人々の記憶とそれについての語り)を収集・整理し,それらをデジタル化して保存することは,両国にとってかけがえのない文化遺産を半永久的に守り,両国の教育・研究に大きく寄与することを、具体的な事例をもって示した。ラテンアメリカ研究所は、このような社会的貢献性のきわめて高いプロジェクト研究の実現により,移民・日系人研究の推進に寄与する道筋をつけることができた。将来的には、国立国会図書館や外務省外交資料館などとも協調しつつ、当研究所がブラジル日系人コミュニティのデジタルアーカイブ庫として機能することが希求される。
また,ブラジル各地の日系人コミュニティで急速に消失・散逸・破損しつつある移民関係資料(たとえば旅券や写真,手紙,生活用具,人々の記憶とそれについての語り)を収集・整理し,それらをデジタル化して保存することは,両国にとってかけがえのない文化遺産を半永久的に守り,両国の教育・研究に大きく寄与することを、具体的な事例をもって示した。ラテンアメリカ研究所は、このような社会的貢献性のきわめて高いプロジェクト研究の実現により,移民・日系人研究の推進に寄与する道筋をつけることができた。将来的には、国立国会図書館や外務省外交資料館などとも協調しつつ、当研究所がブラジル日系人コミュニティのデジタルアーカイブ庫として機能することが希求される。
『ブラジル日本移民‐百年の軌跡』学術賞を受賞
文学部の丸山浩明教授が編著『ブラジル日本移民-百年の軌跡-』(明石書店)により2011年度地理空間学会学術賞を受賞しました。 この著書は、立教大学ラテンアメリカ研究所のプロジェクト研究「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」と、2008年10月25日(土)、26日(日)に開催された国際会議「ブラジル日本人移民100年の軌跡(Centurial Trajectory of Japanese Immigrants in Brazil)」の成果を取りまとめたもので、2010年7月に刊行されました。 表彰式は、2011年6月18日(土)筑波大学で開催された地理空間学会大会・総会にて執り行なわれました。
【丸山浩明教授のコメント】
このたび賞をいただいた著書は、ラテンアメリカ研究所を推進母体にして、本学の研究助成制度である立教SFR(学術推進特別重点資金)により実施したプロジェクト研究と国際会議の成果をとりまとめたものです。今日、深刻な消失の危機に瀕する移民資料の永続的保存を図りつつ、さまざまな学問分野の協同による学際的なブラジル移民研究の可能性を具体的に追求した内容です。課題を残しつつも、学問の壁にとらわれない挑戦的な姿勢が評価されたのかもしれません。本研究にご参加くださった日伯両国の研究者の方々、そして一連の研究活動を親身にご支援くださったリサーチ・イニシアティブセンター、メディアセンター、ラテンアメリカ研究所の皆さまに、心からお礼を申し上げます。
【丸山浩明教授のコメント】
このたび賞をいただいた著書は、ラテンアメリカ研究所を推進母体にして、本学の研究助成制度である立教SFR(学術推進特別重点資金)により実施したプロジェクト研究と国際会議の成果をとりまとめたものです。今日、深刻な消失の危機に瀕する移民資料の永続的保存を図りつつ、さまざまな学問分野の協同による学際的なブラジル移民研究の可能性を具体的に追求した内容です。課題を残しつつも、学問の壁にとらわれない挑戦的な姿勢が評価されたのかもしれません。本研究にご参加くださった日伯両国の研究者の方々、そして一連の研究活動を親身にご支援くださったリサーチ・イニシアティブセンター、メディアセンター、ラテンアメリカ研究所の皆さまに、心からお礼を申し上げます。
立教大学学術推進特別重点資金(立教SFR)助成による国際会議
「ブラジル日本人移民百周年」に当たる2008年10月25日(土)26日(日)、立教大学において「ブラジル日本人移民100年の軌跡(Centurial Trajectory of Japanese Immigrants in Brazil)」と題する国際会議を開催しました。その概要をご紹介します。
開催目的
1908年6月18日第1回ブラジル日本人移民を乗せた「笠戸丸」がサントス第14埠頭に接岸して以来、ブラジルにおける日本人移民の歴史は、2008年でちょうど100周年を迎え、その記念すべき年に、当国際会議は、次のような目的のもとに開催された。
- ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築の構成の可能性を探る。
- ブラジル日本移民史研究の重要性とその意義を確認する。
- ブラジル日本移民史研究をめぐる現状と課題を確認し、将来に向けた研究深化の具体的な道筋を探る。
- 2007年度立教大学SFR(学術推進特別重点資金)単独プロジェクト研究に採択された研究課題、「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」の成果を広く公表し、日本移民研究の新たな視座と公開方法を広く社会にアピールする。
- 日本とブラジルの長年にわたる友好関係を確認し、両国の今後の国際交流のあり方を模索する。
開催経緯
ブラジル日本移民100周年に当たり、日本とブラジルの双方で移民をめぐるさまざまな行事や研究が行われた。とりわけ現地の日系社会では、移民100周年史の編纂や、移民史料館の建設・改修など、各地で移民史の後世への伝承に対する関心が高まった。しかし、これまでブラジル日本移民研究は、必ずしも活発に行われてきたとはいえず、この移民100周年が、日本とブラジルの研究者や日系社会の協働による移民研究の発展に大きく寄与する一つの契機となることが期待されていた。その実現のためにも、日本とブラジルにおけるこれまでの研究の成果や、移民関係資料の現状・課題について協議する場が切望されていた。
こうした状況の中、立教大学ラテンアメリカ研究所では、2007年度立教大学SFRに採択された単独プロジェクト研究「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」に取り組んでおり、同年7月~9月にかけて実施したブラジルでの本格的な現地調査により、当プロジェクト研究が所期の目的を達成しうる見通しを得た。その成果を広く社会に公表し、かつ移民研究全体の中に位置づけることで、当プロジェクト研究の意義をより一層明確化することが望まれた。
2008年はブラジル日本人移民100周年の記念すべき年であり、ブラジル日本移民史に対する関心が両国を中心に広く高まった。移民史研究や移民資料の現状と課題を確認し、同時に立教SFRの研究成果を公表する国際シンポジウムを開催するにはこのうえない好機と考え、当国際会議を開催した。
こうした状況の中、立教大学ラテンアメリカ研究所では、2007年度立教大学SFRに採択された単独プロジェクト研究「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」に取り組んでおり、同年7月~9月にかけて実施したブラジルでの本格的な現地調査により、当プロジェクト研究が所期の目的を達成しうる見通しを得た。その成果を広く社会に公表し、かつ移民研究全体の中に位置づけることで、当プロジェクト研究の意義をより一層明確化することが望まれた。
2008年はブラジル日本人移民100周年の記念すべき年であり、ブラジル日本移民史に対する関心が両国を中心に広く高まった。移民史研究や移民資料の現状と課題を確認し、同時に立教SFRの研究成果を公表する国際シンポジウムを開催するにはこのうえない好機と考え、当国際会議を開催した。
会議の成果
- 移民研究やそれを支える移民資料の保存・公開など、移民にかかわる多分野の専門家が一堂に会して、これまでにない総合的な議論を行うことができた。
- 新たな視座で取り組んだ移民史研究の具体的な成果が公表され、日本・ブラジル両国の専門家による活発な意見交換が行われた。
- 歴史研究における資史料や研究成果を広く公表・共有する方法として、デジタルメディアを利用することの有効性と問題点について考える場が提供された。
- 人文・社会科学(歴史、地理、文化人類学など)と情報科学との連携による萌芽的なプロジェクト研究の成果が公表され、その更なる発展と深化に向けた道標が得られた。
- 一般の利用者から研究者まで幅広く活用できるように設計されたデジタルメディアコンテンツの試験サイトに関して、多方面からの有益な意見聴取が行われた結果、今後のさらなる改良なども確認できた。
- 資料のデジタル化やそのWeb公開が、現地社会や移民にとってどのような意味を持つのかという問題を含め、研究成果の社会還元について現地研究者と議論を深める貴重な場となった。
- SFRプロジェクト研究で発案された新しい移民研究の視座や研究アプローチが、会議で議論されることで、ブラジル日本移民研究の今後の深化につながる道標が提示された。
- 移民研究や移民資料の公開に関して、人文・社会科学の研究者と情報科学(デジタルメディアコンテンツ開発)の研究者が協働して取り組む1つのモデルが具体的に提示された。
- 日本とブラジル両国の研究者交流が促進された。
- 立教大学ラテンアメリカ研究所の活動、その社会的貢献に対する理解が得られた。
国際会議プログラム
2008年10月25日26日に開催された国際会議のプログラム詳細は以下のフライヤーをダウンロードして参照ください。
なお、所属役職等は開催当時のものです。
なお、所属役職等は開催当時のものです。