山岳部が遠征隊に参加。学生だけで標高6524m、ヒマラヤの未踏峰「プンギ」の歴史的初登頂を果たす!

体育会山岳部 中沢 将大さん、横道 文哉さん

2025/03/10

アスリート&スポーツ

OVERVIEW

2024年10月12日、体育会山岳部の中沢将大さんと横道文哉さんが参加する「日本山岳会学生部プンギ遠征隊」は、ヒマラヤ山脈の未踏峰「プンギ」に初登頂した。

プンギ山頂での集合写真。横道さん(左下)と中沢さん(右下)らの遠征隊は、日本山岳会学生部に所属する大学山岳部の学生で構成された

体育会山岳部 主将
法学部国際ビジネス法学科4年次
中沢 将大さん

体育会山岳部 副主将
法学部国際ビジネス法学科4年次
横道 文哉さん


装備調達に企業との交渉、全てを学生の手で実施

2024年10月12日、体育会山岳部の中沢将大さんと横道文哉さんが参加する「日本山岳会学生部プンギ遠征隊」は、ヒマラヤ山脈の未踏峰「プンギ」に初登頂した。企画も準備も全てを学生で行った挑戦は、歴史に残る快挙だ。

「2023年に山岳部でヒマラヤ遠征を経験し、この地に対する思いが深まりました。帰国後に日本山岳会学生部の未踏峰遠征の計画があると知り、参加を決めたのです」(中沢さん)

遠征隊のメンバーは、立教大学の2人と青山学院大学・中央大学・東京大学から1人ずつ加わった計5人。計画してから登頂まで、1年半の間に厳しい訓練を重ね、入念な準備に努めた。横道さんは「さまざまな未踏峰を調べる中で、自分たちの実力に合った山だと考えたのがプンギです。私はチームの中で渉外・会計・記録を担当しました。ネパールのトレッキング会社と価格交渉をした際は、法学部の授業で学んだ交渉術が役立ちました」と振り返る。一方の中沢さんは装備の調達を担い、協賛企業とのやりとりなどに奮闘した。

プンギの山頂に続くルート。多くの困難を乗り越えて登頂に成功した

迎えた本番、遠征隊は9月5日に日本を出発し、高所順応を経て21日にベースキャンプを設営。そして慎重なルート工作を経て、10月4日に6200m地点で最終キャンプを作った。

「酸素量が平地の45%ほどしかなく、常に頭痛と睡眠不足に悩まされました。体力の消耗が激しく、道中で疲労困憊こんぱいに陥り身体が回復することはありません」(横道さん)

過酷な環境の中で頂上を目指した最初のアタックは、切り立った岩に阻まれ失敗する。それでも諦めず、1週間後に態勢を整えて再挑戦し、遠征隊のメンバー5人そろって頂を踏みしめた。

「登頂時のこれまでの人生にない達成感は忘れられません。しかし、下山すると喜びより、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになり、この遠征に懸けていた思いの大きさを実感しました」(中沢さん)

現地でお世話になったネパールのエージェント会社の皆さんと

帰国後、登頂を報告。左から西原廉太総長、中沢さん、横道さん、福田裕昭理事長

「未経験」から「未踏峰」へ。山岳部で仲間と共に成長

今回の歴史的登頂を成し遂げた背景には、山岳部で積み重ねた活動や仲間の存在があった。中沢さんは「部員は13人と少なく、私も含めて大学から登山を始めたメンバーが大半です。監督やコーチとの距離が近く、年間を通して長い時間を共にするので、何でも話し合える雰囲気があります」と語る。ほぼ毎月合宿があり、冬季登山の機会が豊富な点も特徴だという。

山岳部の合宿に出発する際に、池袋キャンパスのウィリアムズホールにて

「個人での山行を含めると、3年次は約80日間を山で過ごしました。かつては“帰宅部”だった私が未踏峰を登頂できるまでに成長できた練習環境や、山岳部の仲間・卒業生の支えには感謝しかありません」(横道さん)

中沢さんと横道さんは共に法学部国際ビジネス法学科に所属し、学業と部活動の両立に努めている。忙しい日々の中で山に登り続ける理由はどこにあるのだろうか。

「未知への好奇心を胸に『自分の世界』を広げる面白さや、苦しさも喜びも仲間と共有できる道のりは何ものにも代え難いです。そして厳しい自然と向き合い、生きるために全力を尽くすからこそ、無事に下山できた時は感慨深いものがあります」(中沢さん)

「自分で実際に登って感じる景色の美しさや達成感は格別です。中でも今回のプンギは圧倒的で、道中で見た畏敬の念すら抱かせる山々の姿は生涯忘れないでしょう」(横道さん)

卒業後も機会があれば、登山ひいては未踏峰に挑戦したいと意欲を燃やす2人。それぞれの頂を目指して、登り続けていく。

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