就活でこだわるべきは会社でも職種でもなく自分のやりたいこと

大辻 佳奈 さん  東京都特別区心理職(現代心理学部心理学科 2019年3月卒)

2019/05/31

キャリアの立教

OVERVIEW

現代心理学部の卒業生に立教大学での学生生活とキャリア形成についてお聞きしました。

大学選びでは学部の「中身」を見極めて

小さい頃から人間関係で悩みやすい性格で、小学生のときにスクールカウンセラーにお世話になったことがありました。味方がいることがとても心強く、自分も将来、この人たちのように誰かの悩みを聞く存在になりたいなと、幼心に思いました。この頃から心理に興味を持っていたのだと思います。高校入学時にははっきりと、「大学では心理を学ぼう」と決めていました。ただ心理学部と一言でいっても、実験の色が濃い大学もあれば、臨床系が強い大学もあり、それぞれにカラーがあるんです。

その点、立教大学は折衷型で、まずベースとなる心理学の基礎を学んだうえで、学年を重ねるごとに興味を持った分野を深く掘り下げていくようなカリキュラムを採用しており、「ここなら広くも深くも学べる」と進学を決めました。このように学部名は同じでも、大学によって範囲や傾向、学び方はさまざま。偏差値だけでなく、中身をしっかり見極めたうえで大学を選ぶべきだと思います。

新座キャンパスの魅力をもっと知ってほしい

心理学部のある新座キャンパスは、池袋キャンパスに比べると都心から離れていますし、少々地味なイメージを持たれているかもしれませんが、私は初めて訪れたときから、この新座キャンパスの落ち着いたところがすごく気に入っています。とくに新座キャンパスの図書館が自慢。アカデミックな雰囲気もあり、モダンな感じもあり、革新と伝統が同居しているような不思議な空間で、本を読むときや勉強するときはもちろん、空いた時間にふらっと立ち寄るほど居心地のいい場所でした。

新座キャンパスには心理学部のほか、コミュニティ福祉学部と観光学部というまったくジャンルの異なる学部がそろっているところもおもしろい。キャンパスが小さい分、他の学部の人たちと交わる機会が多く、会話のたびに新鮮な視点や意見にハッとさせられます。興味や考え方が違う人たちと、当たり前のように友達になれる環境も新座キャンパスの魅力です。

答えがないものを科学し続けるのが大学の学び

私は心理学科に、「心とは何か」「人の心をどのように知ることができるのか」など、ある種の答えのようなものを知ろうとして、入学しました。でも授業を通じて分かったのは、そもそも「心とは何か」に対する答えは用意されていないということ。心という“見えないものを科学し続けること”そのものに意味があったのだと気付きました。たとえば発達心理のゼミでは、自閉症の子どもを育てる親に焦点を当てて研究したのですが、事前に“正しい答えはない”と理解しているからこそ、それぞれの家庭のケースについて、当事者の声をそのままに受け止め、新しい視点を見出すことができました。

また児童相談所の子どもたちの話し相手になるメンタルフレンドのボランティアをしていたのですが、そこの子どもたちとも「答えはないのだから、自分の感性を信じて考え続けよう」という姿勢で触れ合ってきました。寄り添うこととは、考え続けることなのだという気づきこそ、私が大学で得たなかで一番大きな学びだったと思います。

就活では心の軸をぶらさず、視野を広く

私の夢はずっとスクールカウンセラーでした。ただそのためには大学院で臨床心理士の資格を取らなくてはなりません。私も入学当時は大学院に進むつもりでいたのですが、2年生のときにある事情により断念せざるを得なくなりました。その頃はかなり悩みました。そんなある日、心理学科が主催する「社会人と話すカフェ」で、少年院などで子どもたちのケアを行う法務技官をされている方にお会いしたんです。その方と話すなかで、私はスクールカウンセラーになりたかったのではなく、現場で心のケアがしたかったのだという“心の軸”に気づきました。

そこからは公務員心理職に焦点をあわせて動き、納得する形で卒業後の進路を決めることができました。就活では「会社」や「職種」ばかりを見てしまいがちですが、本来こだわるべきは、「やりたいこと」のはず。やりたいことにつながっている道は、意外とたくさんあるものです。ぜひ視野を広く持って就活に挑んでほしいと思います。

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