理学部による女子中高生向け実験体験講習会「美しき化学の世界〜色が変わる金属錯体〜」レポート
科学の未来を創る女子中高生チャレンジ・ラボ
2018/12/07
立教を選ぶ理由
OVERVIEW
2018年9月29日、女子中高生に向けて理系の選択肢の幅広さを知る機会を提供する「科学の未来を創る女子中高生チャレンジ・ラボ ~家族・先生と一緒に知ろう!! 多彩な理系の未来~」のプログラムとして、実験体験講習会「美しき化学の世界〜色が変わる金属錯体〜」が開催されました。当日は多数の女子中高生と保護者が参加し、大学の本格的な設備での実験と現役学生との交流を楽しみました。
理系における思考の仕方が様々な分野で求められる
立教大学理学部長の北本俊二教授より、このプログラム全体について趣旨説明があった後、本企画を担当した和田亨教授から、本企画を立教大学で行う理由や背景を次のように説明いただきました。「いま女性の能力を最大限に発揮できる環境を整備していくことが、将来の日本を左右する大きな問題となっているにもかかわらず、全国の大学・大学院での女性の割合を見ると、まだまだ少ないのが現状です。一方で立教大学の理学部は、全国平均に比べて女性比率が高いという特徴があります。理学部全体では30%、学科によっては半数近く、大学院修士課程在籍者を見ても26%が女性です」。
立教大学理学部の卒業後の進路を見ると、男女問わず、多彩な分野に就職しており、44%の女性が大学院に進学していることが紹介され、「リケジョ」の未来には多彩な進路選択の可能性があり、大学院へ進学することも特別なことではないことが示されました。その理由について、和田先生は「いまの社会では、様々な分野で理系における考え方、思考の仕方が求められているからだと思います」と述べています。その後、理学部、理学研究科の学生で構成される「サイエンス・サポーター」と一緒に、いよいよ実験が開始されました。
立教大学理学部の卒業後の進路を見ると、男女問わず、多彩な分野に就職しており、44%の女性が大学院に進学していることが紹介され、「リケジョ」の未来には多彩な進路選択の可能性があり、大学院へ進学することも特別なことではないことが示されました。その理由について、和田先生は「いまの社会では、様々な分野で理系における考え方、思考の仕方が求められているからだと思います」と述べています。その後、理学部、理学研究科の学生で構成される「サイエンス・サポーター」と一緒に、いよいよ実験が開始されました。
化学変化を利用して役に立つ「機能」を見出す
「美しき化学の世界〜色が変わる金属錯体〜」と題された本企画では、身の回りにあふれている様々な「色」が変化する物質(金属錯体)についての実験を行い、錯体が溶けている液体(溶媒)や温度によって、錯体の色がどのように変化するかを参加者が観察しました。目の前には、事前に整えられた様々な試薬や器具が並べられ、参加者は皆さん、初めて見る器具に興味を示していました。
試薬として用いられたのは「塩化コバルト・六水和物」と「塩化リチウム」。まずは結晶の形や色を観察します。続いて、塩化コバルトと塩化リチウムを入れたエタノール溶液をつくり、青色に変色することを確認しました。また、その溶液に水を加えたり、加熱、冷却することで、どのように色が変化するかを体験しました。こうした環境による変化を応用することで「機能」を生み出すことができるそうです。
試薬として用いられたのは「塩化コバルト・六水和物」と「塩化リチウム」。まずは結晶の形や色を観察します。続いて、塩化コバルトと塩化リチウムを入れたエタノール溶液をつくり、青色に変色することを確認しました。また、その溶液に水を加えたり、加熱、冷却することで、どのように色が変化するかを体験しました。こうした環境による変化を応用することで「機能」を生み出すことができるそうです。
以上の実験から、塩化コバルトは水分によって色が変わることがわかりました。そこで、塩化コバルトの溶液を紙に含ませた簡易湿度計を実際につくり、乾燥した際には青色に、加湿させた際にはピンク色に変化することをみんなで確認して実験は終了しました。塩化コバルトの色変化を利用して、湿度を測るという「機能」をつくり出したわけです。「押し入れなどに入れて湿気を吸収する除湿剤は、色が変化することで交換時期が分かるようになっています」と、和田先生から私たちの身の回りでこの機能を使った製品があることが説明され、参加者の皆さんにも今回の実験の意義を感じていただけたのではないでしょうか。実験後は、2班に分かれて、サイエンス・サポーターと一緒に大学の施設見学と交流会を行いました。
文系理系問わず「なぜだろう?」という思いを大切に
最後に、参加者の皆さんに、本イベントに参加した感想を伺いました。保護者からは、「学生の皆さんの関心も伺うことができてとても興味深かったです。環境問題に取り組むなど、とても専門性を感じました」「色の変化が湿度を示すなど、子どもでも興味が分かるように工夫していただき、学生さんに楽しく実験を進めていただきました」と、ご自身も楽しんでいた様子が伺えました。また実験に参加した高校生からは、「最初は単純な実験だと思っていたのですが、一滴一滴の違いでかなり変化が見られ、化学の奥深さを感じました。学校だと教科書で結果を知るだけですが、自分の手で実験できたのはとても良い経験でした」「いつも完璧な結果が得られるわけではないのですが、やっぱり自分が化学変化を起こしたときの発見や驚きが世界を変えるかもしれないと思うと、実験はおもしろいと思いました」と、半日の体験でしたが意義を感じられたようです。
また、参加者から進路選択のアドバイスや、理学部の魅力、今後の進路などを尋ねられたサイエンス・サポーターは、次のようなアドバイスを参加者に送っていました。「いま何が好きかわからないということはそれだけたくさんの可能性があるということ。ちょっとでも理系に関心があるのなら、苦手な教科があっても頑張ってほしいです。あと、理系でも英語は必要なので、英語も是非一生懸命勉強してください」「理科は得意だけど数学は苦手という人もいるかと思いますが、理系に関心があるのであれば、諦めないでほしい」「これからは、国語ができる理系、数学ができる文系が求められます。様々な情報が溢れる現代にあって、自分で物事を判断できることはとても大切。だからこそ、どんな進路に進むにしても、アンテナを張って、幅広い情報を得ることが大切です」「今日はオープンキャンパスよりも深く、立教大学のリアルな姿を見て頂けたと思います。立教大学は都心にキャンパスがあり、面倒見がよく、一流の人材を育てようとしてくれるところが魅力です」。
最後に、和田先生から化学の魅力と、理系を目指す女子中高生へのメッセージをいただきました。「基礎的な研究結果から、研究者のアイデア次第で、いろいろな機能を作り出すことが、基礎研究の醍醐味の一つです。今回体験してもらった単純な実験でも、自分の手の中で様々な変化が起こるという体験をすると、ハッと驚かされる瞬間に出会えます。人はそうした瞬間になぜだろう?と、目の前で起きたことへの興味が生まれるのです。文系理系問わず、この感覚を大切にして欲しい。また、実験をサポートしてくれたサイエンス・サポーターは参加者の皆さんと年齢も近いため、交流を通して、数年後の自分の姿を想像できたのではないでしょうか」。
理学部では、今後も引き続き様々なイベントを実施予定です。女子中高生の皆様の応募をお待ちしています。また、中学校・高校に訪問して模擬講義などを行う「オンサイト・カレッジ」も実施しています。詳細は特設サイトをご覧ください。
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